HIPHOPアーティストの作品への豊富な参加実績、そして「Kendrick Lamar / DAMN.」に8曲参加など、着実に実績と知名度を高めてきたシンガー/プロデューサー Bekonのアルバム『Bekon / Get With the Times』を聴きました。『DAMN.』のクレジットで名前を確認したぐらいで、存在自体私はあんまり知らなかったというのが正直なところですが、最近何かと話題を目にするのがきっかけでアルバムを聴いてみた次第です。
感想はHIPHOPを感じれるソウルフルな曲に、なんとも不思議な要素を加えまくった豊かすぎる曲ばかりで、めちゃくちゃ気に入ってます。プロデューサーとしての実績と実力が頷けるすごいアルバムでした。メイヤーホーソーン好きにもおすすめです。
実は過去に何曲も触れていたBekonの参加曲たち
何よりもBekonという名前を知るきっかけになったのが、「Kendrick Lamar / DAMN.」のクレジットですね。私もその時Bekonという名前を初めて知りました。しかし冒頭でも触れたとおり、それ以前もプロデューサーとしてバリバリに活動しています。以前はダニー・キーズ(Danny Keyz)という名前で活動していて、Bekonと名乗りだしたのは最近。実はこれまでドえらいアーティストたちへの楽曲参加やプロデュースに関わってきていました。参加したアルバムをざっと挙げるとこんな感じ。
- 「Dr. Dre / Compton」
- 「BJ the Chicago Kid / In My Mind」
- 「Eminem / Recovery」
- 「Snoop Dogg / Doggumentary」
- 「SZA / Ctrl」
(via bmr)
そして、Dr.Dreのシングル「Kush」!!!!なんとこれにもキーボードで参加してます。当時めちゃくちゃクラブでかかってたし、めちゃくちゃ聴いてたなぁ。もう8年前。
全部好きなヤツ。バリバリ聴いてたヤツ。実はこれまでBekonの曲に何曲も触れてたってことです。ようやく出会えましたねBekonさん。
色んな音楽性が詰まった豊かなサウンド
『Bekon / Get With the Times』はとにかく色んな要素が詰まってるアルバムで、1回聴いただけではなかなか掴めないといった印象でした。Bekonの豊かすぎるサウンドにこっちの耳が追いつかない、という感じ。とにかく不思議で豊かなサウンドたち。けど感覚的に良いなと感じれる。そんな曲が多かったです。
COLD AS ICE
DAMN.の1曲目の「BLOOD.」の導入部分をサンプリングした(といってももともとBekonのコーラスですが)最初の「America」もめちゃくちゃに印象的でしたが、その後の「COLD AS ICE」が特に最高です。なんとも不思議なイントロとエフェクトを効かせた歌の入り。「SummerTime」という歌詞にもひっぱられて、暑〜い夏をついつい意識してしまいます。このドロッとしつつも美しいサウンド。好きすぎる。
Oxygen
ゆったりとしつつもカッコ良いベースとBekonの独特の歌、後半のヴァイオリンの使い方にゆっくり引き込まれる「Oxygen」も素晴らしい曲。ヴァイオリンを入れることで、ソウルミュージックにビンテージ感が加わったような感じ。
Catch Me If You Can
「Oxygen」の次の曲で、ヴァイオリンがより印象的な「Catch Me If You Can」。一気にクラシック音楽っぽさが漂いはじめます。けどドラム、特に中盤のドラムがHIPHOPっぽくてカッコ良いという、不思議な感覚。
Mama Olivia
初っ端のサックスソロがかっこよ良すぎる「Mama Olivia」。そこからの曲の展開もめちゃくちゃ独特で、いきなり来る今風なエレクトロ調のフックが妙にダサカッコ良い。
17
と思ったら、フォークっぽいレトロ感満点なサウンドの「17」も。ナチュラルに脳内風景が変わっていく感覚を味わえました。
Get With the Times
終盤でもう1回このアルバムについて考えさせられるタイトル曲の「Get With the Times」は、唯一ラップが入る曲。結構タイトなテンションのラップをこんな感じで使って、こう聴かせるのかぁっていう関心を覚えました。このラッパーが誰か分からないっていうミステリアス感すらもプラスに働く。後ろで鳴ってるTimbalandみたいなチキチキサウンドと最後のギターソロもすごく印象的。
幅広くも豊かなサウンドが集合したアルバム
数曲挙げるだけでも、『Get With the Times』には本当に色んなテイストが入った曲が多いなぁと改めて思います。ピアノ、サックス、ヴァイオリン、エレキギターソロ、アコースティックギターなど、曲によって前面に出て来る楽器が違っていることが幅広くも豊かなサウンドになっている要因。ドラムも終始太くカッコ良く、程よくHIPHOP的なビート感とか今っぽさが醸し出されてます。そして、加工したボーカル、多重コーラスという何より最高な要素がしっかりあるので、全体的にソウルフルなアルバムとして仕上がっています。大物や人気アーティストから重宝されてきた実績、これまでのBekonのプロデューサーとしての実績に納得です。
メイヤーホーソーンっぽい感じはあるんだけど、ちゃんとそこは違いがあって棲み分けされている感じ。メイヤーホーソーン好きな人はまず間違いなくこの『Bekon / Get With the Times』も好きかと思います。
最近ではHIPHOPとかソウルに色んな要素をプラスした音楽が増えてきてると思うんですが、『Bekon / Get With the Times』は今まで取り入れられてなかったフォーク感とかクラシック音楽感とかがふんだんに盛り込まれてると感じました。その辺りは取り入れてもカッコ良くなるわけないでしょー、と思ってたところとの融合でお手上げです。むしろ、私では言葉に表現できないだけで、もっと色んなサウンドの要素が含まれてる感じも同時に感じてます。クラシックロック方面とか幅広いジャンルで聴いてる人やったらもっと違うひっかりがありそうな気がします。
Bekon / Get With the Times
Tracklist:
- Madame Butterfly
- America
- Cold as Ice
- 9 am
- Oxygen
- Catch Me If You Can
- Mama Olivia
- 12 pm
- 17
- 30
- 4 pm
- Get With The Times
- 7 pm
- 10pm Soda Break
- Candy and Promises
- In Your Honor
FACTというwebのカルチャー情報サイトの制限時間10分でトラックを作るという企画にも登場していました。アルバム『Bekon / Get With the Times』にも通じるようなトラックで、なかなかおもしろかったです。キーボードのライン・重ね方の独特のセンス。多重コーラスの工程もおもしろい。