HIPHOPの歴史における重要な曲を紹介・解説した本、『The RAP YEAR BOOK』を読みました。
1979年から2014年まで、年ごとに1曲のみ紹介するスタイルと、大きめのイラストによるワクワク感で、非常にわかりやすくも楽しく読めました。おなじみの情報でのニヤニヤ感と、マジかよっていう新たな情報のバランスが最高です。
リリックや時代背景の解説もあって、英語がわからずウヤムヤな点が多い日本人のHIPHHOPヘッズにとっては、最高のバイブルになるんじゃないかと。HIPHOP老害のおじさんから最近HIPHOPを聞き出した若者までおすすめの1冊です。
「大きめのイラスト」と「くど過ぎない解説」でHIPHOPのおおまかな歴史を楽しめる
HIPHOPの歴史において、重要な曲というものは数々存在します。その歴史を語ろうと思うと、人種問題から政治、時代背景まで大きく関わってくるため、なかなか簡単には語りきれないものです。
実際にダラダラくどくどと解説しただけの、無駄に分厚いHIPHOPの歴史書みたいなものはちょこちょこ存在します。HIPHOPの歴史においてこれは外せないんです!って熱量の積み重ねであんなことになるんでしょうね。
そういった過去のHIPHOPの歴史書と、この『The RAP YEAR BOOK』が違うポイントは2点。それは、「1年に1曲だけという縛りによってくどくなくなった解説」と、「1ページ費やした大きめのイラスト」の2点です。
1年に1曲だけ!これがかなり大きなポインです。解説しだすとキリがないところも、1年に1曲だけという縛りによってちょうど良いボリュームにまとめてくれてます。1年単位で区切りを付けながら読めることで、すごいテンポ良く読むこともできました。
1年ごとに挿入されているイラストも、『The RAP YEAR BOOK』の大きな魅力。本を手にとってパラパラーっとめくるだけでワクワクさせられました。
お気に入りのイラストはこれ。
エクセントリックなバンバータ!
JAY-Z、NASのビーフ!
リリックの解説はもちろん、リリックを面白おかしく紹介もしてくれます。
N.W.A. / Straight Outta Comptonでの罵り言葉の使用回数をグラフ形式で。すんごいことになってます。
HIPHOPヘッズにおすすめできる理由
私が読んで感じた『The RAP YEAR BOOK』のおすすめポイントです。
- 1年に1曲という単位が程よい情報量で読みやすい。多過ぎず少な過ぎず。
- 筆者とは別に、識者がその年の別の1曲を選出し、意義を唱えることで知識や見解が偏らない。
- その曲やアーティストの特徴を表したイラストを見てるだけでワクワクできる。
- HIPHOPの大きな流れや変遷への理解が深まることで、今現在のHIPHOPをより楽しめる。
- 全米ベストセラーの安心感。
- ICE-Tが序文を執筆している安心感。
- いや、それおれも完全に思ってたわ、をちょこちょこ味わえる。
- リリックの解説もあり、詳しく知らなかったリリックを知れる。
- Grandmaster flashに始まり、2PAC、Biggie、そしてKendrick Lamarまで網羅。
読み応えと読みやすさとおもしろさのバランスが素晴らしい。本当におもしろかったです。さすが全米ベストセラー。
改めてHIPHOPが好きになる『The RAP YEAR BOOK』
ラップ・イヤー・ブック イラスト図解 ヒップホップの歴史を変えたこの年この曲
『The RAP YEAR BOOK』を読んで、音楽的な部分だけでなく、エンターテイメントとしてのHIPHOPのカッコ良さ、楽しさを改めて思い知らされた気がします。
この時代にリアルタイムで聴いてたかったなぁって思う年があったのと同時に、現行のHIPHOPも10年後にはそうなってるのかな、と思うと一生HIPHOP追いかけなあかんな、と気合も入りました。今のTRAPブームの次は何が来るのか?!
10年後に読み返しても、何回でも楽しめる本だと思います。
読んで後悔することはまずないと思うんで、HIPHOP好きな人は是非読んで欲しいです。
だいたいの歴史は知ってるよってお兄さんやおじさんでも全然おもしろいと思いますし、最近HIPHOPを聴き始めた若者も是非読んで欲しいです。
フリースタイルダンジョンでHIPHOPを知った気になってるあのダサ坊に違いを付けてやれ!