『Trouble / Edgewood』アトランタのダークさの中に哀愁を感じるギャングスタラッパー

trouble-mike-will-made-it-edgewood-review
この記事は約7分で読めます。

ギャングスタよろしくな出で立ちと雰囲気をプンプンに漂わせたAtlanta(アトランタ)出身のラッパー Trouble(トラブル)が、Mike Will Made-It(Atlanta出身)全面プロデュースのアルバム『Trouble / Edgewood』をリリース。Gucci mane、Future、Migosなど、現在のTRAPシーンの中心地Atlantaから、また1人注目すべきラッパーが出てきたなと。アルバムとしての出来も良かったですが、それ以上にTrouble(トラブル)というラッパーのお披露目的な役割を担っているような位置づけでしょうか。

ギャングスタラッパーな雰囲気・振る舞い、それと同時に感じる哀愁や憂いに魅力を感じます。ギャングスタっぽいラッパーではなく、ギャングスタがラップをしている、そんな印象のラッパーです。

Troubleというラッパー

AtlantaのEdgewood出身、現在30歳のTrouble(トラブル)。Duct Tape Entertainment(DTE)というクルー所属。ラッパーとしてのキャリアはそこそこありまして、2011年ぐらいから継続的にミックステープは出し続けていました。実は何度もメディアに期待のラッパーとして取り上げられていて、Atlantaのシーンではずっと期待されていたようです。正直全然知りませんでした。

そんなTrouble(トラブル)がまず注目を浴びたのが、この「Trouble – Bussin’」という曲。

この時23歳。もうイケイケです。銃カチャカチャパンパンやっちゃってます。周りの連中の小洒落感ゼロのただただ悪いだけ感。特別カッコ良い曲ではないですが、Trouble(トラブル)のキャラが良くわかりますね。正直この頃のスタイルでは特別好きになりませんが、このあたりを通過して今作『Trouble / Edgewood』を聴くのがよりおすすめ。あくまで通過点です。

この後のミックステープとか全然聴いてないのでこの間の活動はよく分かりませんが、2017年末頃には麻薬所持でお務めしていたそう。そして、2018年1月に釈放され、3月にMike Will Made-ItのレーベルEar Drummer Recordsとサイン。そのまま今作の『Trouble / Edgewood』リリースをしました。

ダークさブラックさの中に感じる哀愁といなたさ

今回の『Trouble / Edgewood』はBussin’のPVとは違い、もっと落ち着いたテンションをラップやPVから感じます。イケイケドンドンなギャングスタではなく、殺伐とした重苦しい雰囲気を纏っているという印象。Atlanta特有のダーク感・ブラック感は膨大に含みつつも、その中に感じる哀愁とか憂いみたいなものが、よりギャングスタとしてのリアル感を印象づけられます。いなたいというかブルージーというか、そういうカッコ良さもTrouble(トラブル)は持っている気がします。

「Kendrick Lamar – HUMBLE.」、「Formation – Beyoncé」など、大物アーティスの曲を数々プロデュースしてきたMike Will Made-Itが全面プロデュースしており、トラックもカッコ良いものばかりです。

Trouble – Bring It Back feat. Drake

個人的にはほぼこの曲で決まりやなと感じたぐらい、曲・PVともに最高にカッコ良いです。めちゃくちゃ喰らいました。

まずTrouble(トラブル)の声質。ブルースを感じるしゃがれ気味な声がたまらんです。淡々したフロウと語尾のライミングもめちゃくちゃカッコ良い。Trouble(トラブル)の渋さを理解する上で、このPVもしっかり見て欲しいです。Troubleの立ち振る舞い。シンプルなんだけど、妙な迫力とリアルを感じる身振りやジェスチャー。ボス感が半端ない。ラップする時の、片方だけ上げる口元も個人的にめっちゃ好きです。

そして、Mike Will Made-Itのこもった高音が延々となり続ける不穏なトラック。Trouble(トラブル)のラップとキャラに異常なほどハマってる。Trouble(トラブル)のヴァース終わりに繰り返される「Bring It Back」というラインと、サイレンのように激しく鳴らす高音がトラックの不穏さをさらに煽る煽る。トラック単体でも最高にカッコ良い。

最後にDrake(ドレイク)のラップ。残念ながらカッコ良いし、見事としか言いようがないです。ギャングスタスタイルのTrouble(トラブル)と正反対な位置にいるDrake(ドレイク)、一歩間違えればダサくなりそうですが、ここでのDrake(ドレイク)のアジャスト具合は素晴らしい。この辺にも噛んでくるところとか、最近のDrakeの活動、ちょっと神がかってきてないでしょうか。

Trouble – Real Is Rare

アルバム1曲目の曲。冒頭から色々と問題ありありなPV。チキチキハイハットとバウンス系のベースで、ハネつつもダークなトラック。繰り返し使われるFuck ni**asというラインが耳に残る。ここでもTrouble(トラブル)のラップは、淡々としてるんだけどなぜか妙な迫力やダークネスを感じる。

Trouble – Ms. Cathy & Ms. Connie feat. Boosie Badazz

アトランタ出身、Zaytovenプロデュース曲。Mike Will Made-Itだけでもお腹いっぱいのところに、さらにZaytovenも。アルバム最後から2番目の曲で、しっとり目のピアノを使ったTRAPサウンド。歌い気味にラップするTrouble(トラブル)も良い感じ。ルイジアナ出身、Boosie Badazzのラップもgood。

Mike Will Made-ItによるTroubleプレゼンアルバム

全体的には現在のもろアトランタなTRAPサウンドで、プロデューサーのMike Will Made-Itの存在感も強いです。そこにTrouble(トラブル)が独自のスタイルでのかってくる感じのアルバム。全体的には若干単調かなというのが正直な印象です。ただ、出所して2ヶ月、レーベルと契約して1ヶ月以内という期間を考えると十分かなと。アルバムとしての出来以上に、これだけヤバいTrouble(トラブル)ってラッパーがいるよ、とMike Will Made-Itが紹介するためのプレゼンアルバム的な位置づけなのかな、と勝手な想像しております。

Drake(ドレイク)をはじめ、The Weeknd、MigosのQuavo、Fetty Wapなど、客演陣が充実しているのもアルバムの聴き応えにプラスでした。この客演陣の豪華さもMike Will Made-Itのおかげでしょうか。

Gucci mane、Future、Migosあたりはそこまで、AtlantaといえばOutcast(アウトキャスト)でしょ、と頑なだった私でもTrouble(トラブル)は十二分に魅力的なラッパーでした。今後は客演として呼ばれることも増えていくんでしょうか。露出が増えることを期待したいです。

『Trouble & Mike Will Made-It / Edgewood』

Trouble & Mike Will Made-It / Edgewood

TRACK LIST :

  1. Real Is Rare (Edgewood) / The Woods
  2. It’s In Your Hands feat. Low Down Dirty Black
  3. Might Not
  4. Pull Dat Cash Out feat. Lil 1 / December f. Mike WiLL
  5. Bring It Back feat. Drake
  6. Wuzzam, Wuzzup
  7. My Boy
  8. The Day Before
  9. Kesha Dem
  10. Come Thru feat. The Weeknd
  11. Rider feat. Quavo & Fetty Wap
  12. Knock It Down
  13. Selfish
  14. Krew / Time Afta Time
  15. Cathy & Ms. Connie feat. Boosie Badazz
  16. Hurt Real Bad
Pocket

タイトルとURLをコピーしました