『Towkio / WWW.』踊れるトラック×HIPHOP×ゴスペルなバランスの良いアルバム

Chance the RapperやVic Mensaが所属するクルーSave MoneyのTowkioがデビューアルバム『WWW.』をリリースしました。Kanye West、Chace the Rapper、最近のギャングスタラップの勢いなど、何かと注目のシカゴ出身のラッパー。日本人の父親とメキシコ人の母親のハーフというルーツを持っていることも相まって、以前から日本でも人気のラッパーという印象です。

デフ・ジャム創始者のリック・ルービンのAmerican Recordingsというレーベルからのリリースです。HIPHOPとダンスミュージックをうまく融合させたトラックがほとんどで、ゴリゴリすぎないちょうど良い聴きやすさに仕上がっております。Save Moneyクルーらしいゴスペル要素やコーラスの華やかさも印象的でした。

アルバムジャケットからもわかる通り、宇宙や宇宙から見た地球というテーマがあるようで、気球に乗って100000フィート(約30キロ)上空からアルバムをドロップする（落とす）というプロモーションも話題だったようです。

Contents

HIPHOPとダンスミュージックをうまく融合させたカラフルな曲たち
ゴスペル要素や華やかなコーラスでHappyに聴けるアルバム
Towkio / WWW.

HIPHOPとダンスミュージックをうまく融合させたカラフルな曲たち

Towkio – Swim

アルバムの1曲目。サマソニでも来日が決まっているNox Fortuneなど、The Social Experiment（SoX）のメンバーがバンドとして参加しています。冒頭の落ち着いた曲調とラップから中盤の華やかなコーラス・ゴスペル感、ベースとドラムの煽りから後半の音数が増えて拓けていく具合がめちゃくちゃ楽しい曲です。まさにSoXな1曲。この「Swim」を聴いてこのアルバム多分大丈夫そうやな、っていう安心感を持たせてくれる良い１番バッターになっているのでないかと思います。

Towkio – 2 Da Moon feat. Teddy Jackson & Grace Weber

ポコポコ跳ねるドラムマシンが印象的なダンストラック。そこにのっかるフックのコーラスが曲を一気に華やかにしてくれています。Grace Weberの声ががフックへのスイッチ的な役割になっていてテンポも良い。このトラックに対して、Towkioも気持ちよくラップを乗っけてくれてます。序盤のシャウトとラップはChance the Rapperっぽさを感じなくもないですね。とりあえずカッコ良い。

Towkio – Morning View feat. SZA

それまでのダンサブルな流れから一旦スロウダウンして、しっかり聴かせる箸休め的な曲といった印象。いきなりSZAが出てくるなぁっていう違和感を若干感じますが・・・。この曲に関しては客演であるSZAにもっていかれてる感は否めないかなぁ。SZAやっぱ好きなぁっ、Ctrl（SZAのアルバム）また聴こってなりました。テンポを変えたいっていう狙いとしてはありなのかな？！とりあえずSZAの歌と声を楽しみましょう。

Towkio – Drift

現行のHIPHOPシーンをあえて意識したような、ノイジーなトラップっぽい曲です。こういうのもできまっせー。フックの「ありがとうございますトキトキトキさん」って声ネタがアイデア・響きともにgood。日本のルーツも意識してくれてて、日本のリスナーとしてはやっぱり嬉しくなりますね。

この後の、N.E.R.D感プンプンのトラックが印象的な「Disco」と2曲セットで良い感じです。

ゴスペル要素や華やかなコーラスでHappyに聴けるアルバム

ダンスミュージックっぽいトラックが多いんですが全然安っぽくなく、ダンスミュージックとHIPHOPの程よいバランスが良い感じに仕上がっているかと思います。現行HIPHOPとの近過ぎず離れ過ぎずな距離感も良いな、と。多くの曲で感じるコーラスの華やかさとゴスペル要素によるPease感とPOP感が、アルバム全体に良い影響を与えています。Save MoneyやSoXに感じるHaopyな雰囲気も全体的に感じれて、改めて良いクルーなんだろうなぁとも感じました。

Chance the Rapper、Save Moneyの周りにはこういうHappyさが常にある気がきます。最高。

アルバムの構成としては、Happyで賑やかな雰囲気から始まって中盤に落ち着いた曲をはさんで一気にアッパーな曲へ、そのまま徐々にスローダウン。このあたりも聴きやすくわかりやすく、なアルバムに仕上がった理由ではないでしょうか。ただ、個人的にはもう少し決定的なスパイスが何かしら欲しかったかな、という物足りなさをほんのちょっとだけ感じました。この感覚を持ってしまったのは、Towkioみたいなサウンドの幅広さを持ったHIPHOPアーティストの存在が全然普通になってきてるからではないかなぁと思っております。オルタナ全盛期に突入してる感。贅沢な悩みです。良いアルバムであることには間違いないので悪しからず。

Migosとかそれこそ同じシカゴのキーフチーフとかのGangノリ・ブリンブリンノリのHIPHOPとは違うので、がっつりHIPHOPは聴かないけどソフトなものは聴くって人には最高かと。PUNPEE好きな人とかに良い感じでハマる気がします。最近のPUNPEEがHIPHOP入り口って人は、ここからHIPHOPの世界が広がっていくのではと個人的に感じました。

ちなみに前作のフリーミックステープ「.WAV Theory」も素晴らしい内容でした。PUNPEEもDJの時にかけてたような・・・。